芦田ポートリー(兵庫県丹波市氷上町) 〈2016年11月5日〉
■自然豊かな山あいでの平飼い養鶏
▲抱きかかえてもおとなしい。イイ子。
11月5日(土)にスタッフ5名で平飼い養鶏をされている「芦田ポートリー」を訪問しました。芦田ポートリーさんは丹波の山々に囲まれた豊かな自然に恵まれた山あいにあります。
現在は、平飼い鶏舎に1,000羽、養鶏業を廃業されたかた方から譲り受けたケージ飼いの鶏舎に8,000羽飼育されています。(当会では平飼いの卵のみです)
25年前に養鶏を始められたそうですが、エサ代は当時の2倍になっているそうです。アメリカの遺伝子組み換え(GMO) のトウモロコシが主流になる昨今、非遺伝子組み換え(NON-GMO) のトウモロコシの価格は値上がりの一途をたどっています。芦田さんでは、NON-GMトウモロコシ・国産大豆かす・魚粉を配合した餌を与えています。そのほかに近隣の農家からバターナッツ南瓜・トマト・人参・万願寺唐辛子なども与えています。合成ビタミン剤を与えなくても、新鮮な野菜に含まれたビタミンが鶏を元気にしてくれます。現在平飼いで飼育されているのは、純国産鶏種「岡崎おうはん」と一般的な鶏卵用の「ボリスブラウン」です。鶏舎の床には、有機肥料を使って作られたお米のもみ殻を敷き、天日干しにしたコーヒーの滓を入れるなどして、鶏たちにとって居心地のよい鶏舎になっています。鶏は、天気のいい日の午後は外の鶏舎で自由に動き回りストレスのない生活を送っています。めざすは、より良い循環型農業につながることだということです。(藤田 綾香)
平飼いとは聞いていても、漠然としかイメージできず、一つの鶏舎に1000羽飼育していると聞き、狭いのではと思ったのですが、見学して見ると開放的で鶏たちも自由に動き回り、鶏たちにストレスはかからないと感じました。近くでみると毛色や体つきも健康的だと感じました。 ケージ飼いでは身動きも取れず、さらにウインドレスのケージでは電気をつけて一日中寝かせず無理な産卵をさせていると聞きます。人間でも運動もせず、食べてばかりいれば、不健康で病気になります。動物も一緒だと思います。芦田ポートリーの鶏たちは健康に育てられ、一般の卵とおいしさが違うのは当然だと思われました。現場をこの目で見れてよかったです。 (平岡 真治)
■六次産業化に向けて
▲人がくるとみんな一斉に走ってきます。
天気のいい日は外で過ごします。
丹波地方では昔から小規模個人経営の「庭先たまご」が多かったのですが、商社による大規模な企業養鶏が参入してきたことで、小規模経営の生産者が消えていったそうです。当会の創業後まもない20年位前に一度訪問しましたが、当時平飼い鶏舎が3棟ありましたが、2年前の洪水で鶏舎が流されてしまい、規模を3分の1に縮小されたそうです。 近年は、安全でおいしい卵を使った商品づくりを考案し、6次産業の認定を受け、加工部門を設けプリン・ブリュレ・シフォンケーキなどの販売もしています。事務所でいただいたプリンの味はとても濃厚で格別でした。(田村 和子)
▲丹波の風景をバックに、代表の芦田昭也さん(中央)とスタッフ
(エコポスト2016年11月5回より)
小坂農園(長野県山ノ内町):小坂隆さん 〈2014年11月1日〉
■りんごの町の小坂農園
▲生産者の小坂隆さん
小坂さんの農園は長野県の志賀高原の近くの山ノ内町にあります。金沢からは、北陸自動車道、上信越自動車道を乗り継ぎ、約3.5時間。山ノ内町に着くと、道の両側一面にりんご畑が広がり、赤く熟したりんごが枝もたわわになり、まさに「りんごの町」という印象です。
小坂さんは、りんご栽培には肥料を一切入れないで栽培されています。肥料を入れると木の根が浅く張ってしまうけれど、肥料を与えないことで、リンゴの木が地下深く根を張り、地下深い所の養分をしっかり吸い上げ、丈夫な木になるそうです。畑で「青林」(せいりん)という新種のりんごを試食させていただき、あまりの美味しさに感激し、ぜひ企画しようということになりました。
■新しい品種の開発に意欲を燃やす小坂さん
▲小坂さん青林
畑に入ってまず気がついたのは、地面に敷かれた反射シート。これを敷くことで、太陽の光が反射し、リンゴの実の色づきを良くする効果があるそうです。
小坂さんは2代目の果樹農家で、長野県の「エコ・ファーマー」に認定されています。ご両親と奥さんの4人で果樹と野菜の栽培をされています。(リンゴの作付面積は1.2ヘクタール)
小坂さんは、以前は農協経由で生協に出荷していましたが、出荷量や価格が流通の都合だけで決められる流通方法に疑問を感じ、農家の思いを消費者に直接伝えることができる販売方法を模索し、消費者グループへの販路を開拓してきました。現在、りんごをはじめ、ブルーベリー、プルーン、桃、ぶどう、かりん、洋ナシなどの果物のほか、野菜も栽培していらっしゃいます。この日は、採れれたての大きなブドウをいただきました。
▲畑一面の反射シート
▲ブドウをほおばる黒川
(エコポスト2014年11月4回より)
菊理農園(竹又町)安田健悟さん 〈2014年5月20日〉
■菊理農園の完熟トマト
▲生産者の安田健悟さん
菊理農園」は、石川県と富山県の県境近くの山里、金沢市竹又町にあり、畑からは医王山や富山県の南砺市が眺望でき、まさに「天空の畑」です。標高300mで、冬は畑に入れないほどの積雪になるそうです。しかし、寒暖の差が激しいこの地で採れる野菜はぎゅっと旨味が凝縮して、美味しくなるそうです。(昨年試食したトマトは瑞々しくてとても美味しかったです。) 金沢市出身の安田さんは、農家や農業学校で農業研修された後、2010年10月に金沢市の紹介でこの地に入植されました。今年で4年目を迎え、ビニールハウス4棟と路地の畑で、大玉トマトの「桃太郎」、ミディトマト「華小町」、ミニトマトのほか、きゅうりや小松菜などを栽培されています。
■土壌微生物を使った土づくり
▲トマトのハウス
肥料はウズラの糞、魚カスのペレット、落ち葉、ヌカ、ワラ、貝殻などのほか、杉の木のチップを一年間寝かせて作った腐葉土に、キノコ菌を培養した堆肥(畑の微生物の餌となり多様な土壌微生物の棲みかとなる)やカビによる病気対策として納豆菌を使っています。納豆菌は糸状菌(カビ)の細胞膜を分解する酵素を持っているそうです。 通常のトマト栽培では枝を7、8段くらいまで伸ばして、1本の木からたくさんの実を採りますが、安田さんは、3段くらいまでにし、7月末で1回目の収穫を終え、次の苗を植え、8月は収穫を休み、9月頃から第二弾の収穫を開始し、11月末頃まで収穫されるそうです。
▲杉の木チップ
完熟したトマト
(エコポスト2014年6月4回より)
山下ミツ商店(石川県白山市) 〈2014年4月9日〉
■山下社長の豆腐への熱い思いが伝わってきました
▲豆腐をカット
▲商店の前で社長の山下浩希さん(左)と
4月9日早朝より山下ミツ商店さんの工場見学に出かけました。お豆腐屋さんは朝が早いというのはよく知られていますが、山下さんのところでも朝3時半ごろより作業を開始されるそうです。途中の道が土砂崩れのため朝6時半まで通行止めだったため、残念ながら6時半過ぎに到着した時には既に一部の商品が出来上がっていました。
■徹底した衛生管理
白山市白峰にある工場は非常に清潔で、壁や天井にいたるまでステンレス仕上げで、まざまな雑菌対策が講じられています。また、製品を作る一方、終わった工程から次々洗浄が行われ、「衛生管理」の徹底ぶりが伺われました。この工場ができて14年位経つそうですが、このような規模でここまで徹底している工場は全国でも珍しく、これまで全国各地から大勢の見学者があったそうです。工場は事務所の2階からいつでも見学できるようになっています。
■おいしさの秘訣
▲富山県産の大粒大豆エンレイ
さて、気になるお豆腐作りですが、原料の大豆は、石川県、富山県産の大粒大豆エンレイを使用。エンレイは豆腐作りに適した大豆でタンパク質、脂質、糖質、ミネラルの成分バランスが良く、白くつやのあるおいしい豆腐ができます。
■製造工程
豆腐を洗浄し、一晩水に漬けた後、すりつぶして「生呉(なまご)」を作ります。それをおいしさを損なわないよう沸騰しない温度で加熱して「呉汁」を作り、絞って豆乳とおからに分けます。この豆乳にこだわりの天日塩のにがりを入れて凝固させ、お豆腐をつくります。一般的なお豆腐に使用されている消泡剤は使用しません。出来上がったお豆腐は冷水で一気に冷やして鮮度とおいしさを維持。完全に冷やしてから冷蔵庫で出荷まで保管されます。
焼き豆腐はわざわざ豆腐を串にさし、直火で焼くこだわりよう。こうすることで香ばしい焼き豆腐に仕上がるそうです。
▲笑顔の山下さん
▲山下ミツ自慢の絹豆腐
うすあげは遺伝子組み換えでない菜種油で110℃の低温、170℃の高温と30分かけて二度揚げをする、生揚げは高温で数分揚げて香ばしさを出すなど商品に応じて一番おいしい揚げ方を工夫しています。この揚げの工程は工場に併設されているお店からガラス越しに見学することができます。
社長さんの一押しは「わさびとお醤油で冷奴を食べる」だそうです。
(報告者:木村綾子)
(エコポスト2014年5月2回より)
高農園 〈2013年8月11日〉
■2haから始めた農地が22haに!
▲高さん
能登島は富山湾の内湾にあり、比較的温暖な気候で、降雪も少なく、野菜栽培に適しています。高農園は、能登島でもなだらかな高地の頂上にある無関地区にあります。高さん夫婦が脱サラをして能登島で有機農業を始めて13年。入植3年目に一部の圃場に有機認証を取得し、独自に圃場の化学的データをリサーチ・分析するなど理工系出身の高さんならではのキメの細かさで、徹底した安全圃場作りをされてきました。
能登島はかつてはタバコ栽培が中心でしたが、近年のタバコ離れと農家の高齢化で、離農が進み、耕作放棄地が急増しました。高農園は農地を少しずつ増やし、入植当初2haだったのが、現在は22haまでになりました。野菜のみの農家としては破格の規模です。現在は高さんご夫婦と5人のスタッフで生産に励んでいらっしゃいます。
■レストランに人気の能登島の有機野菜
▲ミニパプリカ
8月11日?に2年ぶりに能登島の高農園を訪問しました。最初に案内された畑には、雑草の合間に空芯采が顔を出していました。隣にはレストラン向けのミニパプリカやピクルス用のミニきゅうり、白いパプリカなどが栽培されていました。高農園では耕作地を増やすと同時に毎年作付け野菜の種類も増やしてきました。赤紫蘇もありましたが、これは梅干し用ではなく、食紅としてソースやドレッシングの材料として使われるそうです。
高農園は以前は、根菜類や葉物などを地元のスーパーなどを中心に出荷されていましたが、東京の著名なレストランシェフとの出会いをきっかけに、レストランとの関係が広がり、現在では栽培される野菜の大半がレストラン向けということで、取引先の数はなんと300軒だそうです。金沢のフレンチレストラン「プレミナンス」のほか、東京の三越・ホテルオークラをはじめとする著名なイタリアンレストランやフレンチレストランなど、能登島の赤土で栽培される高農園の有機野菜は県境を越えて、ブランド化しているのです。
▲白いパプリカ
▲ピクルス用きゅうり
高さんはシェフの方々との交流から、料理のレシピを教えてもらう機会も多いそうなので、当会の会員さん向けにレシピを紹介していただくこととをお願いしてきました。また、高農園独自のユニークな「野菜セット」を企画していただくことも約束してきました。
(文責:田村 和子)
(エコポスト2013年9月2回より)
藤木農園 〈2013年8月1日〉
■自然農法の内灘スイカ
▲すいか畑
河北郡内灘町湖西にある藤木農園の藤木正範さんは、河北潟干拓地に入植して7年になるそうですが、いろいろな作物を作られた結果、河北潟はスイカが適していると判断し、現在は「スイカ」を中心に栽培しています。
▲生産者の藤木さん
今年、新たに圃場とした場所で栽培しているスイカは農薬も化学肥料も使用せずに、栽培したものです。藤木農園のスイカは昨年は糖度13度で、あっという間に完売になったそうですが、今年もこのまま好天が続けば、昨年同様の糖度になるとのこと。
品種は「あじキララ」!薄紅色の果肉に、甘味が強くシャリシャリの歯触りが特徴です。
(エコポスト2013年1月3回より)
菜友館 〈2013年6月17日〉
■菜友館を訪問しました
▲松村さんご夫婦&須藤さんご夫婦
能登の北西部(羽咋郡志賀町)で3haの農地で農薬や化学肥料を使わないで野菜の栽培をされている若い生産者の松村さんと須藤さんご夫婦を訪問しました。茨城県出身の松村さんは奥さんの実家がある志賀町で4年前から農業を始められ、1年前に須藤さんご夫婦が合流され、昨年7月に合同会社「菜友館」を設立されました。須藤さんは金沢出身ですが、ここに来られる前は、神戸でジャズミュージシャンとして活躍されていたそうです。
▲根切り虫を見せていただきました
化学肥料・農薬に頼らず、「安全・安心な野菜を届けたい!」という思いで毎日野菜と向き合っているそうですが、毎日が試行錯誤の連続だそうです。今年も「根切り虫」にせっかく成長した茎があっという間に食べられ、一匹ずつ見つけては踏み潰しているそうですが、なかなか追いつかないようです。
▲さつまいも畑
▲圃場見学
現在、肥料は、富山県産の生いわしを主原料にケイ素を加えて発酵させた有機ぼかしと、石川県産の薬草を原料にした漢方薬の煎じカスを堆肥として使っています。
4人ともとても明るく、少々のことではめげないという元気がみなぎっていました。今年から、芋類を出荷していただく予定です。
(参加者:田村、藤田、岩田)
山のハム工房ゴーバル 〈2013年5月1日〉
■山のハム工房ゴーバルさんに行ってきました
▲ゴーバルのハム
金沢から東海北陸道、東海環状自動車道を経て、中央道瑞浪インターを下り、岐阜県恵那市の串原のゴーバルハム工房へと走ること4時間。標高600mの山の中にある工房は、入口に入ると燻製のいい香りがしました。
社長の石原さんは山形県出身で、昭和55年(1980年)に数人の仲間と一緒にこの地で創業され、創業の頃から化学調味料や発色剤などを一切使用せずにハムづくりをされています。今はその第二次世代が創業の世代の意志を引き継ぎ、活躍しています。
▲見学風景
曜日によって作業日程が異なるそうで、訪問した日は丁度、屠畜場から届いたブロック(枝肉)をさばく日で、ステンレスのテーブルの上に新鮮な肉の塊が部位ごとに置かれています。スタッフがテキパキと丁寧に解体作業をしていきます。バラ肉の骨を取り除く作業は、熟練が要り、包丁の使い方に慣れていないと怪我をしそうな難しい作業です。
■「Living is sharing」を実践
▲スモーク中
燻製室では、当会でも人気のショルダーベーコンスライス、骨付ハム、布まきハムを作っていました。
燻製を作る工程は、炭火で肉の中心温度を70度にした後、桜の木を入れて香りをつけ、燻製にしていきます。肉の部位、大きさ、肉をつるす位置、その日の外気温や湿度によって、火加減やスモークする時間を調整します。この時の火加減次第で味や食感が全く違ってしまうそうで、まさに「職人わざ」のようです。
できたてのハムをいただきましたが、塩加減・水分量・食感共に最高においしかったです!
▲養豚場
午後は車で10分くらいの山の中の養豚場に見学に出かけました。息子さんの石原弦さんが養豚を担当され、数人で豚舎を管理されています。
通常、養豚場は臭いのですが、ここはあまり臭いが気になりませんでした。豚たちのいる豚舎の下にもみ殻が敷き詰められているのを見てその理由がわかりました。
豚糞の混じったもみ殻は完熟された後、肥料として自社の野菜畑や近隣の農家に引き渡され、有効活用されています。
▲スタッフの皆さんと
豚は生まれてから約6カ月で出荷されるそうで、品種はランドレース、大ヨークシャ、デュロックのよいところを取り入れた交配の豚です。出荷を間近に控えた豚たちが囲いの中を、元気よく走りまわっていました。
この豚舎は地元の養豚業者から引き継ぎ、自分たちで補修や改造をしながら現在の豚舎にしてきたそうで、「アニマルウェルフェア」(動物の福祉:家畜が快適に過ごせる環境づくり)に配慮しながら、飼育環境の整備に取り組んできたそうです。
どのスタッフも表情は明るく、イキイキと仕事をされていました。「Living is sharing」(生きることは分かち合うこと)」というゴーバルのポリシーがいたるところで感じられました。
そして、この工房のとても家族的な雰囲気に、初めて来た私たちもゴーバルの家族の一員に入れていただいたような気分になり、まるで旧来の友人の家に来たような気分で帰途につきました。
(エコポスト2013年6月1回より 参加者:黒川、田村、藤田、岩田)
渡津農林会 (水上さん) 〈2012年12月25日〉
■噂の「115」シイタケ
▲水上さん親子
12月25日(火)、白山市渡津町(旧鳥越地区)で椎茸栽培をされている渡津農林会(水上)さんを訪問しました。渡津農林会さんは、3代に渡り、60年以上椎茸栽培をされています。以前は鳥越でも椎茸栽培しているところが多くあったそうですが、今は水上さんだけです。屋内でしいたけの原木栽培をされているのは県内でも貴重な存在です。これは、中国から安い椎茸が市場に入ってきて以来、ほだ木栽培は採算がとれなくなり、ほとんどの生産者が廃業、あるいは菌床栽培に転向してしまったからです。
渡津農林会さんは、そんな中国シイタケが席巻する市場の流れの中で、15年ほど前から肉厚椎茸「115」の栽培を始めました。この品種は、開発されてから20年余り経つそうですが、その大きさと笠の厚みには驚かされます。また、味も「ステーキ椎茸」と言われるおいしさで、従来のシイタケとは一線を画したものです。石川県では、同じ品種のシイタケが「のとてまり」というブランド名で全国的に知られ、昨年12月に行われた初競りでは、5個入りのセットに16,000円(1個3,200円)の値が付けられた話題のシイタケです。
▲115しいたけ
栽培小屋には、ほだ木が棚の上にきれいに並べられ、ところどころにシイタケが頭を出していました。まだ小さいものも軸の大きさは、通常の椎茸よりもかなり太く、どっしりした感じです。透明のビニールをかけられているものがあり、理由をお聞きすると、袋掛けをし、湿度を保つことで大きくさせるそうです。栽培された「115」の内、傘の直径が8p以上の丸い大きなものは高級食材として、高級料亭などで使用されているそうです。当会で企画するのは、価格的にもリーズナブルで使いやすいS〜Mサイズのものです。生産が安定すれば、2013年の秋以降から大きなサイズのものも出荷していただけそうです。
▲ほだ木から頭を出した椎茸
渡津農林会さんでは、室内の温度を上げれば量を増やすことも可能ですが、なるべく自然に近い形で栽培する方法をとっています。2012年は、10月に強い寒波が来た影響で、大きくて、量もたくさん獲れたそうです。
栽培小屋の中には舞茸を培養する部屋もあり、その脇には殺菌装置(蒸気高温殺菌)がありました。舞茸は雑菌に弱く、ほだ木をこの装置で殺菌してから、菌を埋め込むそうです。渡津農林会さんでは、通常の椎茸、きくらげ、なめこなども屋外で原木栽培されているので、秋にはいろいろなきのこを出荷していただけそうで楽しみです。
▲シャーペンと比較"
シャープペンと傘の大きさを比較。ほだ木表面の白い穴は、菌を埋め込んだ発泡スチロール。ほだ木は通常は2〜3年使用するそうですが、渡津農林会さんでは4〜5年使用されているそうです。
水上さんからいただいた椎茸を自宅で鍋にして頂きました。通常はわき役の椎茸がメイン食材になり、ダシが肉厚の笠に染み込んだ椎茸はとにかくおいしかったです。軸は捨てずに根基の黒いところだけとり除けば、ダシにもなるのでみそ汁に入れたり、薄くスライスして炒めたりと、使い方はいろいろです。お父様のお勧めは、お肉を椎茸の笠に入れて焼く肉詰めだそうです。(藤田)
(エコポスト2013年1月3回より)